またぼちぼち「人事評価」の季節だ。

毎度思うのだが、近年は上も下からの評価を受けるべきなどという議論をするものが増えてきているのが気になる。「自分たちばかりが評価されるのはおかしい、上だって評価されるべき」というのだろうが、これほど組織の本質を勘違いしている議論もない。

そもそも「評価」というのは上から行うものであって、逆ではない。なぜならそれが組織における基本的な構造であり、そうでなければ統制というものが取れないからだ。

hanron


大体上に立つものが下からの評価を気にし始めたら、まっとうな仕事などできなくなる。下が気に入らないような施策や改革などはできず、もっぱら末端の機嫌を損ねないような当たり障りのないことばかりやらねばならなくなる。
これでは組織は成り立たない。

上に立つものが下からの受けばかり気にしているような組織は早晩立ちいかなくなるだろう。

また「人事評価」というのは必ずしも仕事に対する評価だけを反映するのでないことも重要だ。時々あるのが「こんなに頑張っている職員を評価しないのはおかしい」というクレームだが、これは「人事評価」の本質をわきまえていない勘違いから生じる謬見である。

たとえご当人がどれだけ仕事を頑張って成果を上げようが、それと組織にとっての人事上の評価は必ずしも結びつかない例はいくらでもある。昨年も職場内で仕事はできるがパワハラだの何だの組織に石を投げるような不満分子がいて、情報工作を交えて評価を2ランクほど調整するよう指示したことがある。新人時代にさんざん鍛えてやった礼もわきまえず今頃になって天に唾を吐くような真似をするようなやつだから全くの自業自得なのだが、過去のいきさつを知らない現在の係長は相当ショックを受けていたようだ。いささか胸が痛まないわけではないが、これも組織のため必要なことだろう。

重ねて言いたい。「評価」は上からするもので、断じて逆ではない。


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